世界のねじを巻け!

本の感想やいいなと思った話を載せていきます

【感想・あらすじ】『ノルウェイの森』

今日は『ノルウェイの森』の感想とあらすじをかいていきたいと思います。

 

村上作品の中でも人気の高い作品で、松山ケンイチさん主演で映画化もされました。

 

 

 

 

主な登場人物


「僕」(ワタナベトオル)
主人公。神戸の高校を卒業後、東京の私立大学文学部演劇科に進学。大学卒業後は文筆業につく。

キズキ
「僕」の高校時代の親友。高校3年の5月、自宅のガレージで自殺。

直子
キズキの幼なじみで恋人。東京女子大学に進学。キズキの死後は主人公との交流なくなっていたが、東京で再会。
その後、京都の精神病の療養所「阿美寮」で生活。


主人公と同じ大学で同じ授業(「演劇論 Ⅱ」)を受講。実家は書店を経営。

レイコ
阿美寮の直子の同室人の女性。38歳。かつてピアニストを目指していたが挫折。阿美寮に8年間入所しており、ギターも得意。

 

 

あらすじ

 

「僕」の友人であり、直子の恋人であったキズキが高校三年生の夏に自殺する。

 

「僕」は東京の大学に進学し、街中で直子と再会し、会うようになるも直子は精神病を患い、京都の療養所で生活するようになる。

 

その後、直子は自殺し、「僕」は大学の「演劇論Ⅱ」で知り合った緑に告白をする。

 

 

登場する音楽

 

「ノルウェイの森」 ビートルズ

 「ノルウェイの森」と言うタイトルのは誤訳かもしれないそう。

そもそも、演奏で使われているシタールと言う楽器はインドの楽器だし ^_^;

あまり、北欧感のある曲ではないなと思います。

作中には、「ミッシェル」や「ノーホエア・マン」「ジュリア」「ヒア・カムザ・サン」も出てきますね。

『ラバーソウル』からの選曲が多いですね(^^)

本作の執筆中、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツクラブ・バンド』を聴きまくっていたそうです。


「ワルツ・フォー・デビィ」ビル・エヴァンス

こちらはジャズピアノの曲ですね。お洒落な曲です。


「スカボロ・フェア」サイモン&ガーファンクル

こちらは民謡のカバーです。北欧っぽい曲です。これは私個人的にとても好きな曲でAメロBメロサビといった感じではなく一つのメロディーが繰り返されているだけなのに飽きない構成になっているのが凄いなあと思います。


「月の光」ドビュッシー

クラシックではブラームスやモーツァルト、バッハも登場していましたね。『ねじまき鳥クロニクル』の中でもクラシックの楽曲は登場しており、作者のクラシック好きがうかがえます。


 

 

感想


① あらすじ自体はそんなに面白くない


これは言及しとくべき点だと思いました。

読み終わって割と早い段階でストーリーが思い出せなくなりました。

断片的に高校の友達が死んでしまうことなどなどは覚えていたのですが、流れを忘れてしまうことがよくありました。

これはストーリーが必然的なことで繋がっていないからだと思います。

ジブリの『となりのトトロ』とかも割と似たようなところがあって、シーンは思い出せるのですが「なんでそんなことしてたんだっけ?」と思うことが良くありました。

このことは作品を読み返すきっかけとなったりします。

読み返すことで深みが生まれる作品なんだと思います。

 

また、ストーリー自体というよりも主人公の葛藤や文章表現などに面白さのウェイトが置かれていると思います。ここら辺が村上作品を実写化することの難しさだと思います。

 

 

② リアリズムとファンタジー


単行本の発売当時、帯に「100%の恋愛小説です。」と書かれていたそうです。

インタビューで作者は「これは100パーセントの村上春樹のリアリズム小説」が書きたかったとか、「あえて定義づけるなら、成長小説という方が近いだろう」とも語っています。

ひとつ前の長編小説である『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』やその前の『羊をめぐる冒険』がかなりファンタジー要素の強い作品だったのでその対比の意味でも本作は作者的にも世間的にもリアリズムの強い作品であると位置づけられています。

一方で、前作との『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』との類似点も見受けられます。『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』は現実的な世界の物語とファンタジックな精神世界の物語が交互に展開する形式をとっています。本作はあくまで現実の世界で繰り広げられる物語なのですが、緑との一般的な大学生の日常的であり「動的」な世界と、直子のいる京都の山深くの療養所とい非日常的で「静的」な世界を主人公は行き来しています。

 


③ポップな絶望


「大切な人を失うということにどう向き合うか」ということは、この小説の一つのテーマ だと思います。

これは人生、誰にも必ず訪れることなので受け入れやすいテーマだと思います。

失恋ソングの方が世の中には多く、こういったテーマの答えを多くの人が求めているのだと思います。

そういった意味では重いテーマではありますがとても大衆的でポップなテーマだと言えると思います。

 

また、本作を実写化したときの主演は松山ケンイチさんであり、読書家が自分を重ねて易くかつ、憧れ持てる感じはこういうの感じなのかと思います。少し影があります。

イケメンなのは確かですが(^_^;)

 

あまりイケイケの人に読書家は少ない気がします。読書家にとって感情移入し易い人物像であると言えると思います。

 

テーマ的にも登場人物のキャラクター的にも感情移入し易く書かれている作品であると言えると思います。

 

 

④突撃隊や国旗掲揚の描写

 

突撃隊というニックネームの登場人物は、主人公と寮の同じ部屋で共同生活ををしています。

綺麗好きなどの良い点もあるのですが、毎朝、六時半にラジオ体操を始めます。

主人公は8時くらいまで寝ていたいので、ラジオ体操をやめて欲しいと言い、突撃隊に断固断れたので、跳躍のところだけでも省略できないかと主人公は提案するのですが、それに対しても十年以上も同じことをしているから何一つ抜かすことは出来なないとして、その譲歩も断れます。

 

また、主人公が住む寮は右翼的な団体が作ったもので、毎朝六時に「君が代」が流れ国旗掲揚が行われます。

この国旗掲揚をするだけのシーンは実に細かく描写さており、国旗掲揚をするだけのシーンなのでですが、2ページくらいさかれてます。

 

何か物事に対して一生懸命になると独特なポリシーのようなものが生まれ、周囲との温度差が生まれ、温度差は滑稽さを生むというような様子が描かれていると思います。

 

突撃隊や国旗掲揚の例は滑稽さが目立ちますが、当時盛り上がっていた学生運動も周りから見ていた学生にとっては似たような感覚があったのかも知れません。


⑤総合的に考えて村上春樹作品の中で他人に薦めやすい作品


『羊をめぐる冒険』や『ねじまき鳥クロニクル』、『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』などの作品も大変面白い作品です。

しかし、『羊をめぐる冒険』は『風の歌を聴け』からのシリーズもので最初から読むとなるとちょっと長かったりします。『ねじまき鳥クロニクル』はシリーズものではないですが3巻あって少し長いです。

また、『羊をめぐる冒険』や『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』などのファンタジー要素の強い作品は世界観を受け入れらるか不安に思う人もいるかと思います。

比較的リアリティーがあってストーリーの長さ的にもちょうどいいので、村上春樹の作品をどれを読めばいいかという問いに対して『ノルウェイの森』と答えてしまう一つの理由だと思います。

乃木坂46の橋本奈々未さんも『ノルウェイの森』を推していました。

 

 

⑥ 結局はポジティブな考え方の主人公で良かったです(^-^)

夏目漱石先生の「こころ」も男性二人、女性一人の話です。そして、主人公の友人は死んでしまう。

自分の持論として村上春樹先生の良さの一つは主張がポジティブなことにあります。

「こころ」の主人公は死んでしまいます。

それに対して、この小説の主人公の「僕」は友人の彼女と寝て自殺の原因となったかも知れない緑を好きになったという手紙を書いてレイコさんに送っています。

その上で「世界中に君以外に求めるものは何もない、何もかもを君と二人で最初から始めたい」と緑に告白して終わる。

一見、無茶苦茶です!

しかし、なにはともあれ「生きる」ということを「僕」は選んでくれて、良かったと自分は思います。

道徳的になれないというリアリティーと「生きる」ということにポジティブなメッセージこれはこの作品の魅力だと思います。

 

 

おわりに

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

今日はこの辺で(^-^)/